歯科医師の指示にしたがって、人工的な歯を作ったり、矯正装置の作製、修理、加工をします。いったん歯が損なわれると、物を食べるのが不自由になったり、消化が悪くなるだけでなく、ときには容貌が変わったりするなど、心身の健康に大きく関与しています。歯は、乳歯の場合を除き、二度と生え替わることがないので、事故や歯科疾患によって歯を失った場合には、人工の歯を作ってそれを補い機能を回復させることが必要です。
歯科技工士の仕事の大部分は義歯を作ります。義歯には「入れ歯」や「さし歯」、「ブリッジ」、「金冠」などの種類があり、歯科医師が治療の過程で採得した患者の歯型に、石膏剤等を流し込んで患者固有の模型を作り、陶材・金属・合成樹脂などを使って義歯を製作します。
義歯を製作する仕事で大事になるのは、非常に精巧な手技工程です。このほか、歯並びを矯正する装置の製作を手がける技工士もいます。合金製の線材の弾力を利用して歯列に力を加え、歯並びを矯正する装置を製作します。
高校卒業後、厚生労働大臣の指定した歯科技工士養成所に入所し、所定の課程を修めて卒業した後、歯科技工士試験に合格し、免許を取得します。
一般的には、大学・短大・専門学校を卒業し、国家試験を受けます。教育年限は昼間大学では4年間、短大・専門学校では2年間、夜間(専門学校)では3年間、学習する科目は、歯牙解剖、有床義歯技工学、歯冠修復技工学、歯科理工学などといった理論や知識のほか、歯科技工実習にも多くの時間が当てられます。
また歯科技工士は、細かい指先の作業をしなければならないので、そうした細工仕事に興味があり、指先や手先が器用で、ねばり強いことが要求されます。優れた細工(入れ歯など)には美的センスも必要とされます。 資格を取った後も常に技術の習練が必要であり、一人前になるには5年程度の実務経験が必要とされています。