航海士は船長が作成した運航計画に基づき、航海や荷役に関する業務の遂行のため、甲板部を指揮したり、自らが直接その業務にあたります。航海士の最も重要な業務に船の位置の確認があり、肉眼やレーダー、あるいは太陽や星を計測したり、人工衛星からの電波をキャッチしたりして船の位置を求めます。
その他にも気象や潮流の変化を的確にとらえ、常に安全で効率的な航海成就に努めます。船舶職員法では船の大きさや航行区域によって、船に乗務すべき航海士の人数や、その等級を規定しています。大手海運会社の場合、航海士を学歴別に見ると、商船大学出身者と商船高等専門学校出身者でおよそ90%を占めています。
航海士の仕事は免許制です。航海士に関する海技従事者の免許には、1級~6級海技士の6種類があり、それぞれの資格に応じて試験を受けるために必要な乗船履歴(経験)が定められ、船の大きさや航行区域別にもさまざまな条件が設けられています。免許は20歳以上でないと与えられませんが、早く資格を取得する方法としては、中学を卒業してすぐ、海員学校や商船高等専門学校などの専門の教育機関に進む道があります。これらの養成期間のほとんどは、奨学金制度が充実しており、学資や入学金の貸与を受けることができます。 船舶を所有している会社などに雇用され、健康診断などを受けて、船員となり、初めは小さな船に乗務して経験を積み、上級の海技免許を取得してから大きな船に乗務することもあります。厳しい自然環境と不規則な労働に耐えられる健康な体と忍耐力が求められる仕事です。